よろこびのうた あらすじと感想を書いていきます!
よろこびのうた とある集落で起きた焼身自殺
ウチヤマユージ作 「よろこびのうた」
事件は2006年3月、北陸地方のF県勝野市にあるとある集落で起こります。
旧火葬場から二人の老夫婦の焼死体が見つかるのです。
亡くなったのは青木真さんと妻・和子さん。
火葬場の近くの車からは遺書と亡くなった日の様子を記したメモが残っており、自殺という可能性が高いと判断されました。
遺書には遺産は全て市に寄付しますと書かれてありました。
半年後、週刊誌「スキエ」編集者の伊能純一は交通事故の取材で駆け回っていた時、タイヤ痕の跡が頭に残ります。
ある時、伊能は介護の取材で勝野市に行くよう頼まれます。
勝野市に到着した伊能は取材を開始するが、警察や青木の知人からは詳しい情報は話せないと言われ、思うように取材が進みません。
そんな時、学校帰りの赤星幸太郎に声をかける伊能。
「君、青木さんご夫婦知ってる??」
「知りません!!何も!!」
といい、走り去る幸太郎。
この時から伊能はこの事件の違和感を感じるようになるのです。
老夫婦が自殺をした本当の理由とは!?
サキヤマートというスーパーに行った時、伊能は駐車場にあったタイヤ痕を気にかけます。
以前交通事故の取材で見たタイヤ痕と似ていたのです。
しかし警察ではここ1年で事故はないと言われます。
青木について知る遠山、先山、井上の3人が青木について話をしてくれます。
2005年、青木真は足の悪い妻和子に変わって身の回りの世話をします。
ある日、お寺に二人で向かいました。
和子はお寺にある地獄絵図が好きでした。
一方赤星幸太郎の父親、周太郎はギャンブル好きで、幸太郎の世話を全くしていません。
周太郎はサキヤマートで酒を購入していましたが、つまみを買い忘れたことに気づき、立ち止まると幸太郎が帰ってくるのが見えます。
「おい!!幸太郎!!てめえが帰ってくるのが遅えから雨の中俺が酒買い出しに行かなくちゃなんねえだろ!!」
と理不尽な言葉を放ち、幸太郎を蹴り飛ばします。
幸太郎は父親から虐待を受けていたのです。
それを車の中から見ていた和子。
幸太郎は泣きながら和子を見ていました。
そして次の瞬間、和子はハンドルを握っており、アクセル全開で周太郎へ向かうのです!!
和子は気を失っていました。
真は自分がやったことにしたいと言い出しますが、それは無理という結論に達します。
「仕方ねえな」
といい、過去にヤクザとつながりのあった遠山はドラム缶に液体を注ぎ、死体を隠蔽するのです。
事件から1ヶ月後、和子は夜な夜な叫び声をあげるようになります。
実は和子は事件のことをなんとなくですが覚えているのです。
「私、殺したんやろ、赤星を」
真は答えず、逆に自分が高血圧で危険域の手前であることを和子に伝えます。
そして真が出した決断は
「のう和子・・・一緒に死んでくれんやろか?」
幸せとは何か??
この物語は2005年11月に福井県で起こった心中事件をモチーフに描かれています。
認知症の和子が虐待を見ていてもたってもいられなくなった行動、それに対する和子の苦しみ、そして真が出した死という決断が見事に描かれています。
真は和子を愛しています。それゆえに和子の苦しみを見過ごすわけにはいかなかったのでしょう。
正解はわかりませんが、生きるだけが幸せではないのか?人生の最後をどのように幸せにするか?幸せとは何か?
このようなことを考えさせられる物語でした!
「よろこびのうた」はまんが王国で無料で立ち読みができます。
1巻完結ですが、読み応えのある作品なので是非読んでみてください!